2016 WEEK 5 Chargers 31 - 34 Raiders
毎週毎週、ファンの寿命を縮めるかのような試合をしてくれるレイダーズ。Week 5のチャージャーズ戦も、わずか3点差、何かが少し違えば、負けていても不思議ではない試合でした。早速、試合を振り返りましょう。
PASSING
- 先発QBカーは、パス40回中25回成功(62.5%)、317ヤード、2TD、1INT、レイティング93.4。
- 1試合300ヤードの達成は今季2回目にしてキャリア9回目。これはフランチャイズ史上5位の記録。
- 先週とは違って、ロングパスが多く見られた。パス1回あたり平均7.93ヤードは、Week 1に次ぐ今季2番目の数字。また、この試合のロングゲイン・トップ10のうち、9プレイがパス。うち4プレイはディープゾーンへボールを投げ込んでいる。
- スクリーンを狙ってRBワシントンへ投げたパスをINTされた。正直、どこへ投げたのかよく分からないパスだった。他にも、WRクーパーを狙ったパスがINTされかけた。序盤は守備が見えていない感じだった。
- この試合では全45回のドロップバック中13回もプレッシャーを受けたが、むしろプレッシャー下の方が良い成績を残した。プレッシャー下では、パス10回中7回成功(70%)、121ヤード(平均12.1)、レイティング144.2。
RUSHING
- チーム全体として、25回89ヤード(平均3.6)、1TD。エースRBマレーの欠場もあってか、2週連続ラッシングヤードが100ヤードを下回った。
- RBワシントンは、9回23ヤード(平均2.6)。最長でも8ヤードしか走れず。レシーブは5回29ヤード(平均5.8)。
- RBリチャードは、8回31ヤード(平均3.9)。最長でも7ヤードしか走れず。レシーブは6回66ヤード(平均11.0)。
- FBオラワレは、6回22ヤード(平均3.7)、1TD。今季2個目のTDラン。この試合最長の17ヤードのランを見せた。これはキャリア2番目の長さ。レシーブは1回2ヤード。
- 3人合わせて23回走ったが、ミスタックルは1回、コンタクト後の平均獲得ヤードはたった1.8ヤード。やはり力押しのランはマレーがいないと出ないのか。
RECEIVING
- WRクーパーは、6回138ヤード(平均23.0)、1TD。1試合138ヤードはキャリアハイ。ようやく今季初のTDレシーブ。序盤からエンドゾーン内のクーパーを狙ったパスを投げていて、彼にTDをとらせようという意志が見えた。この試合を終えて、キャリア最初の2年間のレシービングヤードでは、ロッド・ストリーターを抜いて、フランチャイズ史上1位となった。また、1試合100ヤードを達成するのはキャリア7回目。チャージャーズ相手には、昨季のWeek 5、133ヤードを走って以来、2回目の100ヤード超え。今季2個目の2ポイントも成功させた。
- WRクラブツリーは、3回47ヤード(平均15.7)、1TD。前半から3rdダウンのパスを2回もドロップする不調っぷりだったが、やるときはやる男。4thダウンからエンドゾーンを狙った21ヤードのパスをキャッチし、リードを奪い返した。3回以上のレシーブは22試合連続。
- WRロバーツは、2回22ヤード(平均11.0)。WRホームズは、2回13ヤード(平均6.5)。
- この試合では、TEのパスキャッチがゼロ。TEスミスがIR入りした上、TEウォルフォードも膝の故障のため欠場。控えのTEリベラや、PSから昇格したTEオマリーは出番なし。オマリーは試合前のパス練習を延長して行っていたが、ターゲットとなることすらなかった。
- 興味深かったのは、GカークランドがTEとしてプレイしていたこと。何度かエリジブルとなっていたが、結局レシーブの機会は与えられず。
OFFENSIVE LINE
- 先発は、LTペン、LGオセメレ、Cハドソン、RGジャクソン、RTアレキサンダー。2試合連続同じ先発メンバーとなるのは、この試合が始めて。
- パスプロテクションは今季最低レベルだろう。サック3回(17ヤード)、QBヒット4回を許した。この試合前まで、4試合を合計してもサックは2回(4ヤード)しか浴びていなかった。
- 満を持してデビューしたDEボサには、タックル5回(ソロ4回)、サック2回(16ヤード)、ロスタックル3回、QBヒット2回と、好き放題やられてしまった。これが「眠れる獅子を起こす」ということなのか……
- だが、PFFの評価は高い。ハドソン以外の4人が、オフェンスのトップグレードに名を連ねている。ランが出なかったのは、OLよりもRBの責任が大きいと考えていいのかもしれない。
DEFENSE
- 先発DLは、DEマギー、DTウィリアムス、DTウォード、DEマック。
- DLのMVPはマギー。タックル4回(ソロ3回)、サック1.5回(6.5ヤード)、QBヒット2回、ファンブルフォース2回。今季2.5サックとなって、チームトップへ踊り出た。ファンブルフォースを記録するのはキャリア初めて。
- 先発LBは、SLBアービン、MLBジェームズ、WLBライリー。
- LBのMVPは新加入のライリー。レイダーズでのデビュー戦ながら、チームトップのタックル7回(ソロ3回)、ファンブルフォース1回。このファンブルフォースはSネルソンがリカバーして、QBカーがINTされてからたった3プレイでポゼッションを取り返した。
- 先発DBは、LCBアマーソン、RCBスミス、FSネルソン、SSジョセフ。
- DBのMVPはジョセフ。タックル6回(ソロ3回)、1INT、パスディフェンス1回、ファンブルリカバー1回。世界中のレイダーズファンが待ち望んだ、キャリア初INTを記録。ルーキーが1試合2個のターンオーバーを奪うのは、2014年にDBキャリーが達成して以来。
- もう1人のMVPはスミス。タックル5回(ソロ3回)、1INT、パスディフェンス2回。INT後は27ヤードのロングリターンを見せた。これは2014年にSウッドソンが30ヤードをリターンして以来、最長の記録。
- ネルソンは、タックル6回(ソロ4回)、パスディフェンス1回、ファンブルリカバー1回。LBライリーがファンブルさせたボールをリカバーして、チームトップの3個目のターンオーバーを奪った。ただ、肝心のパス守備は……
AGAINST PASSING
- 相手はQBリバース。パス30回中21回成功(70%)、359ヤード、4TD、2INT、レイティング122.1。相手QBのレイティングが100を超えるのは3試合目。
- パスラッシュはまずまず。上述のDEマギーの他、DTウィリアムスがサック0.5回(1.5ヤード)、QBヒット1回、LBアービンがQBヒット1回。合計では、サック2回(8ヤード)、QBヒット4回。
- Sジョセフは、この試合前まで、ターゲットとなった5回すべてキャッチされて、33ヤードのゲインを許していた。この試合でも、QBリバースから6回狙われて、5回キャッチされた上、71ヤードのゲインと1TDを許した。ただ、パスディフェンス1回、キャリア初のINTを記録するなど、やられっ放しではない。ラン守備には大きく貢献しているので、このまま出場を続けて、パス守備でも成長を見せてもらいたい。
- 開幕直後は不安だらけだったCBスミスとCBヘイデンが調子を上げてきている。スミスは上述の活躍。ヘイデンはターゲットには5回なったものの、キャッチは2回、25ヤードしか許さず。RACも3ヤードに抑えた。
- 一方、ラフな一日となったのはCBアマーソン。WRウィリアムスをカバーできず、29ヤードのTDパスを通された。本人曰く「彼ら(チャージャーズ)があんなルートを走ってくるとは思わなかった」らしい。
- Sネルソンも苦しい一日となった。誰をマークするのか、どのゾーンを守るのか、これが曖昧。本人がアサインメントを理解していないのか、それともプレイコールが悪いのか。
AGAINST RUSHING
- チーム全体では、19回72ヤード(平均3.8)、0TD。
- エースRBゴードンは、16回69ヤード(平均4.3)。最長24ヤードのランを出されたが、試合を通して見ると、自由に走らせなかったといえる。
- この24ヤードのロングランを除けば、18回48ヤード(平均2.7)しか許しておらず、ラン守備には高評価を与えていいだろう。
- 第4Q残り3分5秒、3rd & 2からのゴードンのランを止めて、FGを強いたのは大きかった。その後のFGは、Pカーザーがファンブルして失敗。決められていれば同点だった。
SPECIAL TEAMS
- Kジャニコウスキーは、4本のFGと2本のPATを成功させて、チームトップの14得点をマーク。2014年のビルズ戦以来、最多の成功数となった。今季最長となる56ヤードのFGも難なく決めたので、50ヤードのFGを大きく右に外したのは忘れよう。1試合4本以上のFGを成功させるのはキャリア20回目。流石は大ベテラン。
- Pキングは、3回139ヤード(平均46.3、ネット41.3)。フランチャイズ史上5人目のパント300回を達成。出番が少なかったせいか、20ヤード以内には落とせず。
- この試合では、パント、キックオフともにリターンがゼロ。パントは1回しか蹴られていない上、その1回が16ヤードしか飛ばず、アウトオブバウンズとなった。キックオフは6回すべてがタッチバックだった。
COACHING
- この試合でもデルリオHCはアグレッシブな姿勢を見せた。5点を追いかける、第3Q残り1分15秒の4th & 3では、ギャンブルに出て一気にTDを決めると、すかさず2ポイントを成功させて、3点のリードを作った。畳みかけるべきところでは迷わず勝ちにいく、勝負師的采配。失敗も多いが、勝ち方を学ぶ必要のある今季の采配としては悪くないと思う。
PENALTIES
- 反則は6回36ヤード。この試合の審判は、あまり反則をとらなかった印象。
- 第1Q:RGジャクソンのホールディング。Cハドソンのフォルススタート。LTペンのフォルススタート。DEオートリーのニュートラルゾーンインフラクション。
- 第2Q:なし
- 第3Q:CBスミスのホールディング。LGオセメレのフォルススタート。LGオセメレのフォルススタート。
- 第4Q:なし
- 反則のないクォーターがあったのは今季初めて。
- オートリーの反則を除く、5回の反則をOLが犯した。そのうち4回がフォルススタート。ホームチームがフォルススタートを犯し続けるのは最悪。それだけ相手のパスラッシュが驚異的だったということだが、今後ブロンコスとの闘いも控えているため、不安材料となる。
INJURIES
- アクティブ登録を外れたのは、QBクック、FSアレン(四頭筋)、RBジョーンズ(ひざ)、RBマレー(つま先)、Tワトソン(ふくらはぎ)、Tマキャン(ひざ)、TEウォルフォード(ひざ)。
- 先発RTアレキサンダーが足首を痛めて、Tハワード(足首)が出場する時間帯もあった。復帰はクエッショナブルとされたが、後半にはアレキサンダーが戻ってきた。
- LBスミス(四頭筋)はアクティブ登録されたものの、試合には参加せず。緊急時には出場する予定だったらしいが、LBライリーが予想以上の活躍を見せたため、この試合は休養にあてられた。
- 試合直後の段階では、大きな怪我をしたという情報は入ってきていない。故障者は増えてきているが、この試合は怪我人が増えずに済んだ。
- デルリオHCは、この試合を欠場したRBマレー、LBスミスが次週復帰することを望んでいるようだが、間に合うかどうかは分からない。
- ロスターカット終了後すぐにIRに入ったDEエドワーズ(腰)は、来週の水曜日から練習に参加できる。経過は良好なようで、次週から練習に復帰し、Week 9のブロンコス戦での出場を目指すとみられる。
プレシーズンを含めると4試合目となるホームゲーム。ようやく勝利を収めることが出来ました。成績は4勝1敗となって、ブロンコスが敗れたため、まさかのAFC西地区首位となりました。いやはや、本当に驚きです。
散々言われていますが、開幕からこれだけの成績を挙げるのは、スーパーボウル進出を果たした2002年以来。こういうデータを示されると、ファンとしては勿論嬉しい気持ちがあるのですが、どうも手放しでは喜べません。
というのも、ここまでの5試合はすべて1ポゼッション差の接戦。得失点差はわずか+5です。ピタゴラス勝率では、2.6勝2.4敗らしいです。よく誤解されますが、ピタゴラス勝率から算出した仮想勝利数よりも実際の勝利数が多いからといって、試合巧者だとか、コーチの手腕が優れているとか、そういうことは言えません。
しかも、言うまでもないほど、大量の喪失ヤードと失点を記録しています。開幕からこれほど守備の悪いチームが勝ち越していたことは歴史上極めて稀なことです。それを補うだけのオフェンス力があると言えばそうですし、今年は「運の良い」シーズンなのかもしれませんが、今後いつ崩れてもおかしくはないので、不安が残ります。
次週はホームでのチーフス戦。バイウィークまでの残り4試合では、Week 9のブロンコス戦に次ぐ鬼門ではないでしょうか。パス守備を改善し、同地区相手にきっちり連勝してほしいと思います。