2016 Week 16 Colts 25 - 33 Raiders
"We lost our leader." ー Bruce Irvin
プレーオフ進出を決めて迎えた、レギュラーシーズンのホーム最終戦。勝利すれば地区優勝に大きく近付く重要な一戦に臨んだレイダーズは、第2Qから第3Qにかけて一気にモメンタムを掴みました。
19点リードのまま第4Qに入り、圧勝ムードが漂うオークランド・コロシアム。しかし、ここで最悪の事態が発生しました。OLBコールのサックを受けたQBカーがフィールドに倒れ、明らかに大怪我をした様子で、ひどく痛そうに顔をしかめます。
トレーナーに支えられながらサイドラインに下がったカーは、カートに乗せられてロッカールームに向かい、試合には戻ってこないまま、終戦。試合後、デルリオHCの口から語られたのは、カーの腓骨骨折という、耳を疑う衝撃の言葉でした。
ここまでチームを支えてきた、レイダーズの絶対的エースQBカー。今季はシーズンMVPの候補にも挙げられていましたが、無期限の欠場が発表されました。復帰の可能性はゼロではありませんが、現実的にはシーズンエンドとみていいでしょう。
14年振りのプレーオフ進出を決め、まさに「これから」が楽しみだったレイダーズは、文字通り「地獄」に叩き落とされました。今後はQBマグロインがチームを率いることになりますが、やはり不安は残ります。
来週は敵地でのDEN戦で、これに勝てば地区優勝が決まります。カーを欠くなか、どれだけのオフェンスができるのかを試すには絶好の相手だと思います。この試合での勝利を信じて、何とかポジティブな気持ちを保っていかなければなりません。
本当に、信じたくない出来事です。一晩経っても、嘘であってほしいと願わずにはいられません。
Key Plays
第1Q
- (10:55)QBラックからTEスウープへ45ヤードパス
- (8:34)FG隊形からPマカフィーがスクランブルするも1stダウン更新できず
- (8:03)RBゴアの13ヤードラン
- (7:18)QBラックからWRヒルトンへのパスをSアレンがINT
- (5:14)QBカーからTEウォルフォードへ15ヤードパス
- (1:26)QBカーからWRクラブツリーへ15ヤードパス
第2Q
- (15:00)QBカーからWRホームズへの1ヤードTDパス
- (13:55)QBラックからTEドイルへ17ヤードパス
- (9:54)QBラックからWRモンクリーフへの24ヤードTDパス
- (8:37)QBカーからWRクラブツリーへ35ヤードパス
- (5:55)QBカーからTEウォルフォードへの5ヤードTDパス、KジャニコウスキーがPATを失敗
- (2:00)QBラックからWRヒルトンへ12ヤードパス
- (1:21)QBラックからWRヒルトンへのパスをSネルソンがINT
- (1:13)RBリシャードの19ヤードラン
- (:46)QBカーからWRクーパーへ34ヤードパス
- (:39)QBカーからRBワシントンへ18ヤードパス
- (:22)QBカーからRBリシャードへの4ヤードTDパス、DEリッジウェイがKジャニコウスキーのPATをブロック
第3Q
- (11:39)QBカーからWRホームズへ22ヤードパス
- (10:53)RBワシントンの22ヤードTDラン
- (10:18)LBスミスがRBゴアのファンブルを誘発、CBキャリーがリカバー
- (8:45)RBワシントンの22ヤードTDラン
- (7:41)QBラックからRBゴアへ12ヤードパス
- (6:39)QBラックからWRヒルトンへ39ヤードパス
- (5:22)QBラックからRBタービンへの3ヤードTDパス
第4Q
- (10:16)QBラックからTEアレンへ11ヤードパス
- (9:31)QBラックからWRヒルトンへ15ヤードパス
- (7:47)QBラックがスクランブルで11ヤードTDラン、WRヒルトンへのパスが通って2ポイントコンバージョンも成功
- (3:48)QBラックからWRヒルトンへ39ヤードパス
- (2:38)Kビナティエリの42ヤードFG
- (2:22)QBマグロインからWRクーパーへ19ヤードパス
Statistics
Passing
- QBカーは20/30、228ヤード、3TD、0INTで、レーティング122.6。
- 怪我をするまでは素晴らしい出来だった。3週間振りの複数TDパス、4週間振りのレーティング100超え、さらにはアンダーセンターからのスナップを解禁するなど、右手小指の脱臼に対する不安を払拭したはずだった。
- 良かったのはプレッシャー下でのパス。プレッシャーはたった5回しか受けなかったが、3回のパスを成功させ、51ヤードを獲得。
- 悪かったのはロングパスの精度。序盤からディープゾーンに投げ込むシーンが見られたが、20ヤード以上のパスは7回中3回の成功、91ヤードしか出なかった。
- 彼のあとを受けたQBマグロインは2/3、29ヤード、0TD、0INTで、レーティング97.9。
- 今季のマグロインは、CAR戦でカーが指を負傷したときに1ドライブをプレーしただけ。今週も大量リードした場面での投入だったため、ほとんどパスを投げていない。今のオフェンスの陣容でどこまでやれるかは全く分からない。
Rushing
- チームラッシングは37回210ヤード(平均5.7)、2TD。第9週のDEN戦以来、今季2回目の200ヤード超え。
- RBワシントンは12回99ヤード(平均8.3)、2TD。レシーブは1回18ヤード。一時はアクティブ登録から外れる悔しい経験もしたが、キャリア最長の99ヤードを走り、何よりキャリア初のTDランを記録。最高の一日になった。
- RBリシャードは6回66ヤード(平均11.0)。レシーブは3回13ヤード(平均4.3)、1TD。6回のランのうち5回は9ヤード以上走っていて、序盤から絶好調だった。終盤はどこかを痛めてワシントンに出番を譲った。
- RBマレーは15回40ヤード(平均2.7)。レシーブは2回11ヤード(平均5.5)。ルーキーコンビが活躍するなか、エースであるはずの彼は思うように走れず。コンタクト後の粘りは見せていたと思う。
Receiving
- WRクラブツリーは7回90ヤード(平均12.9)。今週も3rdダウンで痛恨のドロップを犯したが、試合を通してみれば、この試合のレシービングリーダー。再び何らかの怪我を負ったようで、終盤はサイドラインで待機していた。
- WRクーパーは4回72ヤード(平均18.0)。QBマグロインから19ヤードのパスをナイスキャッチ。あやうくINTされそうなパスだったが、相手DBからボールをもぎ取った。
- WRホームズは3回33ヤード(平均11.0)、1TD。クラブツリーの怪我もあって、今週は出番が大きく増えた。193cmと背が高く、今後QBカーを欠いたオフェンスを強いられるレイダーズにとっては、彼を上手く使うことが重要かもしれない。
- TEウォルフォードは2回20ヤード(平均10.0)、1TD。ゴール前で相手のタックルをかわしてTDを決めた。最近は良いレシーブが増えてきた。
- WRロバーツは3回ターゲットになったが、レシーブはゼロ。ランブロックは相変わらず上手く、RBワシントンのTDランをアシストした。
Offensive Line
- 先発はLTペン、LGオセメレ、Cハドソン、RGジャクソン、RTワトソン。
- ここまで先発出場を続けてきたTハワードが先発から降ろされた。この試合ではアクティブ登録すら外れて、個人的には厳し過ぎるとも感じる。
- 許したサックは1回。LTペンが足を滑らせ、OLBコールに突破を許した。これが彼の許した今季初めてのサックになった。皮肉なことだが、このたった1回のサックがQBカーの悲劇を生んだ。
- ランが出たのはOLのおかげといえる。今週はコンタクトを受けるまでに137ヤード(平均3.7)も走れている。来週もこれぐらいランの突破口を開いてくれれば。
Defense
- 先発DLはDEオートリー、DTレイサム、NTウィリアムス、DEマック。
- 先発LBはSLBアービン、MLBライリー、WLBスミス。
- 先発DBはLCBアマーソン、RCBスミス、FSネルソン、SSアレン。
- 今季初出場のDEエドワーズは、18スナップ(33%)のみプレー。
- ディフェンスはターンオーバーを3回も奪った。SアレンとSネルソンのINT、LBスミスのFF&CBキャリーのFR。
Pass Defense
- 相手はQBラック。19/29、288ヤード、2TD、2INTで、レーティング92.3。
- サックこそなかったが、プレッシャーはよくかかっていた。DEマックとLBアービンがラックを何度も投げ急がせ、2回のINTを誘発した。
- ただし、300ヤード近く喪失し、2TDを許したことを考えれば、パスカバレッジは良くなかったと言える。
- SアレンはINTこそ奪ったが、TEスウープに45ヤードのロングパスを許した。
- 一番酷かったのはWRモンクリーフに24ヤードのTDパスを許したプレー。CBマクドナルドが何故かカバーを外れて、完全にフリーにしてしまった。
- 同じぐらいお粗末だったのは、RBタービンに3ヤードのTDパスを通されたプレー。誰一人として彼をカバーしておらず、どういう守備を敷いていたのか全く分からない。
- Sネルソンは今季5回目のINTを記録。INTする能力自体は確かにプロボウル級かもしれない。勝手に前に上がってくることさえなくなれば……
Run Defense
- チームラッシングは24回103ヤード(平均4.3)、1TD。
- RBゴアには13回73ヤード(平均5.6)も走られ、QBラックには11ヤードのスクランブルTDを許すなど、決して褒められたものではない。
- いつもはオフタックルのランは出されても、中央のランを上手く止めていたが、この試合ではど真ん中のランを止められず、1stダウンを更新されるシーンもチラホラ。
- ラン守備のハイライトは、第3QにRBゴアから奪ったファンブル。LBスミスがボールを綺麗にかき出した。
Special Teams
- Kジャニコウスキーは5回のPATを2回も外す大乱調。50ヤード以上はともかく、ホームでPATすら外すようでは来年以降は厳しい。
- Pキングは5回235ヤード(平均47.0)。惜しくもタッチバックになるパントが2回あったが、WRホームズの頑張りで敵陣4ヤードへのパントを記録。
- リターンは、パントが1回8ヤード、キックオフが2回44ヤード(平均22.0)。
- カバレッジは、パントが1回10ヤード、キックオフが3回58ヤード(平均19.3)。
Injuries
- 欠場者のうち故障者は、Sジョセフ(足指)、DTマギー(足首)のみ。
- 開幕前にIRに入って以降、復帰するという噂だけが流れ続けていたDEエドワーズがついに復帰した。ローテーションしながら出場して、スタッツは何も残せなかったが、プレーオフに向けて彼の復帰は心強い。
- WRクーパーはここ数週間ずっと肩を痛めていて、最近レシーブ数が減少している原因になっているとのこと。WRクラブツリーも怪我が続いている。RBリシャードとDTレイサムも何らかの怪我をしたと思われる。
- 最大のアクシデントは、QBカーの腓骨骨折。腓骨骨折からの復帰には最短でも6週間はかかるといわれていて、SBまで進出したとしても間に合わない可能性が高い。まさしく最悪のクリスマスになってしまった。
- IR入りするという情報はなく、デルリオHCも復帰の可能性を否定してはいないが、無期限の欠場ということで、おそらく期待しない方がいい。本当に期待するべきなのは、QBマグロインがチームを勝利に導くこと。