2016 Wild Card Raiders 14 - 27 Texans
今シーズンのスーパーボウルが行われる、テキサス州ヒューストンのNRGスタジアム。奇しくも、今シーズンのプレーオフも、このNRGスタジアムから始まりました。
試合は大方の予想通り、3番手QBクックが先発したレイダーズのオフェンスが、リーグ最高のディフェンスを誇るテキサンズに抑え込まれ、終始テキサンズがリードする展開。序盤から自陣でインターセプトを奪われたレイダーズはズルズルと引き離されていきました。終盤には逆転の可能性を感じさせるドライブもありましたが、再びインターセプトを許して、その淡い期待も潰えました。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | Total | |
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レイダーズ | 7 | 0 | 0 | 7 | 14 |
テキサンズ | 10 | 10 | 0 | 7 | 27 |
オフェンスはQBカー、LTペンの欠場が大きく響きました。キャリア初先発のクックにとって、テキサンズのディフェンスを相手にするのは荷が重過ぎました。ランもほとんど出ず、クックを楽にしてあげられないまま、第2Qから第3Qにかけては8ドライブ連続でパントに終わるなど、散々な試合でした。
ディフェンスは27失点したものの、オフェンスが機能せず、守備機会が多かったにしては頑張った方でしょう。後半はランを増やしてきましたが、しっかり守り切って何とか踏ん張りました。ただ、パスラッシュがかからず、ターンオーバーを奪えなかったので、守備から流れを引き寄せることはできませんでした。
スペシャルチームはパントシチュエーションが多いなか、最低限の役割は果たせたと思います。Pキングは10回もパントを蹴って、ミスパントもありましたが、健闘は称えたいです。リターンカバレッジは非常に良かったものの、RBジョーンズがエンドゾーンから弾き出したボールをカバーしきれず、タッチバックにしてしまったのはマズかったと言えるでしょう。
反則は8回63yds。今シーズンはずっと反則が多かったので、これでも少なく感じます。審判が若干厳しかった気もしますが、肝心なところでインターフェアをとられてしまって、なかなか自分たちのリズムを掴めませんでした。
レイダーズ | 14 - 27 | テキサンズ |
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16 | 1stダウン | 19 |
64y | ラン | 123y |
139y | パス | 168y |
203y | トータル | 291y |
3 | ターンオーバー | 0 |
13% (2/16) | 3rdダウン成功率 | 27% (4/15) |
8 | 反則回数 | 7 |
26分31秒 | 攻撃時間 | 33分29秒 |
チームスタッツを見て最も気になるのは、やはり3rdダウン成功率でしょう。テキサンズの27%も褒められたものではありませんが、レイダーズの13%はあまりにも酷い数字です。ランを止められ、3rdダウンロングのシチュエーションを何度も作られたのが要因です。
Turnovers
- オフェンスの犯したターンオーバーは3回。
- 第2シリーズ、RBマレーへのスクリーンパスをDEクラウニーがインターセプト。クラウニーは第1シリーズでもWRロバーツへのスクリーンパスをカットしていたし、その次のプレーもWRクーパーへのスクリーンパスを投げていた。これだけ同じようなプレーを多用すれば防がれて当然。
- 第4Q終盤、ハーフウェーまで攻め込んだところでインターセプト。高く浮いたパスをクーパーが弾いて、それをSムーアがキャッチ。
- 次のドライブでも、WRホームズへのパスをCBボウイェがインターセプト。残り時間もほとんどない場面で、4thダウンから無茶投げしたパス。
- ディフェンスはターンオーバーを奪えなかった。
Quarterbacks
- 先発QBクックは18/45、161yds、1TD、3INTでレーティング30.0。
- キャリア初先発をプレーオフで迎えるのは、スーパーボウルが始まって以降のNFLでは史上初のこと。その責任はあまりにも重かった。
- これまで3番手のQBとして過ごしたきたため、レシーバーとの呼吸がほとんど合っていなかった。クック自身のコントロールも悪く、レシーバー陣のドロップもあって、たった40%しかパスが通らなかった。
- 第4QにはWRホームズとTEリベラを上手く使ってドライブ。ホームズへのTDパスも通して、ポテンシャルの高さを見せた。もう少し早く、このようなドライブができていれば、と悔やまれる。
- スタッツ的には酷い有り様だったが、コーチ陣は「QBマグロインとの交代」という選択をしなかった。これは彼の将来を期待して経験を積ませたかったこともあるが、マグロインとの別れを示唆しているのでは。
Running Backs
- チームラッシングは21回64yds、1TD。W11のHOU戦では、今シーズン最低の30ydsしか走れなかったが、今回も改善は見られず。
- 先発RBマレーは12回39yds、1TD。第1QのTDドライブでは、18yds、6yds、5ydsのランのあと、2ydsのTDランを決める活躍。このドライブだけで31ydsを走ったが、それ以外では8ydsしか走れず。
- RBワシントンは4回16yds。
- RBリチャードは3回3yds。
- FBオラワレは1回6yds。
- 上記の通り、マレー以外のRB陣はほとんど走れず。39ydsしか走っていないマレーが、チームラッシングの大半を占めた。ランでリズムを作れず、QBクックの負担を全く軽減できなかった。
Wide Receivers / Tight Ends
- WRクーパーはターゲット10回、キャッチ2回、10yds。
- WRクラブツリーはターゲット7回、キャッチ2回、33yds。
- エースの2人がここまでキャッチ率が悪いとどうしようもない。QBクックのコントロールミスもあったが、明らかなドロップも見られた。
- WRロバーツはターゲット7回、キャッチ1回、1yds。
- WRホームズはターゲット5回、キャッチ4回、50yds、1TD。今回もクラブツリーに代わってプレー。クックとの息が合っていて、もっと使うべきだった。
- WRホルトンはターゲット2回、キャッチゼロ。
- 先発TEウォルフォードはターゲット2回、キャッチ2回、16yds。
- TEリベラはターゲット5回、キャッチ4回、31yds。ホームズと同じく、クックとのコミュニケーションは良かった。不可解なインターフェアをとられたのが残念なところ。
Offensive Linemen
- 先発OL陣はLTワトソン、LGオセメレ、Cハドソン、RGジャクソン、RTハワード。
- 不動のLTペンがひざを痛めて欠場。彼のキャリアでは初めての欠場となった。
- パスプロテクションは両タックルから崩れた。LTワトソンはDEクラウニーを全く止められず、DEリーダーにはサックを献上。RTハワードはOLBマーシラスの突破を許して2回のサックを献上。今シーズン18サックしか許していないレイダーズだが、この試合だけで3サックを許した。
- 今回もランブロッキングは良くなかった。やはりOLは「ユニット」として機能するので、ペンが抜けるとOL全体の質が低下する。OLありきのランオフェンスを展開してきたレイダーズとしては、OLのブロックが悪いと走れない。
Defense
- 先発DL陣はDEエドワーズ、NTウィリアムス、DEマック。
- 先発LB陣はSLBアービン、MLBライリー、WLBスミス。
- 先発DB陣はLCBアマーソン、RCBスミス、CBキャリー、FSネルソン、SSジョセフ。
- この試合ではCBキャリーがブリッツを仕掛けることが多かった。ただし、肝心のパスラッシュとしての効果はあまりなかった。
Pass Defense
- QBオスワイラーを相手に14/25、168yds、1TD、0INTでレーティング90.1。
- 前半だけで146ydsを失った。後半はランで時間を使ってきたこともあって、22ydsに抑えた。
- パスラッシュは全くと言っていいほど機能しなかった。サックどころか、QBヒットすら1回も記録されていない。DEエドワーズ、DTマギーがいても、インサイドからのプレッシャーはかからなかった。
- パスカバレッジも良くなかった。前回と同様、TEのカバーが疎かだった。LBスミスやSジョセフがマッチアップしても、振り切られることが多かった。
- 酷かったのはCBアマーソン。キャッチ4回、89ydsを許し、ホールディングとインターフェアを1回ずつ犯した。特にエンドゾーンでインターフェアを犯して、ダメ押しのTDを止められるキッカケを作ってしまったのは、あまりにも痛かった。
- CBスミスは比較的安定していたが、第2Q終盤にWRホプキンスにTDレシーブを許してしまった。
Run Defense
- チームラッシングは44回123yds、2TD。
- テキサンズがリードしてランを多用してきたため、喪失ヤードは100ydsを超えたが、平均では2.8ydsに抑えていて、決して悪くなかった。
- ランディフェンスがそれなりに上手くいったのは、何と言ってもDEマックのおかげ。パスラッシュでは貢献できなかったが、11タックル、2ロスタックル、8ストップを記録。
- パスラッシュでは、という点では、DEエドワーズとDTマギーもランストップでは良い働き。エドワーズは病気、マギーは鼠蹊部の怪我を抱えながらも、それぞれ40スナップ、21スナップをプレーした。
Special Teams
- キックオフリターンはRBリチャードが2回平均19.0yds、RBジョーンズが1回23yds、タッチバック3回。
- パントリターンはRBリチャードが5回平均13.6yds、CBキャリーが1回2yds、タッチバック1回。リチャードには37ydsの好リターンがあって、レイダーズの最初のTDドライブをアシスト。
- Pキングのパントは10回平均45.7yds、ネット平均41.4。31yds、38ydsのミスパントがあって、それぞれフィールドゴールとタッチダウンにつながった。
- Kジャニコウスキーはフィールドゴール機会なし。エキストラポイントは2回蹴って両方成功。キックオフは3回蹴ってタッチバックなし。
- カバレッジチームは、パントカバレッジが4回平均5.8yds、キックオフカバレッジが3回平均15.3yds。かなり良かった。
Penelties
- 反則は8回63yds。テキサンズの反則は7回65yds。前半はレイダーズが2回10yds、テキサンズが1回10ydsで、後半の反則が多かった。
- 第1Q:LTワトソンのアンネセサリーラフネス。
- 第2Q:CBアマーソンのホールディング。
- 第3Q:TEウォルフォードのフォルススタート。Sジョセフのホールディング。WRクラブツリーのパスインターフェア。WRクラブツリーのフォルススタート。
- 第4Q:CBアマーソンのパスインターフェア。TEリベラのパスインターフェア。
Injuries
- アクティブ登録から外れた選手は以下の通り。QBカー(足首)、Sアレン(脳震盪)、CBハミルトン、Tペン(ひざ)、Gアレキサンダー、DLウォード、DEジャクソン。
- Tペン(ひざ)は手術の必要がない程度の骨折。
- WRクラブツリー(脳震盪)、LBスミス(ハムストリング)が途中退場。
- Cハドソンは前半最後のドライブで足首を痛めたが、後半最初のドライブを休んだだけで戻ってきた。
- OLBアービンはハムストリング?を痙攣させてロッカールームに退いたが、数プレー後には戻ってきて、試合終了までプレーした。
- QBカー(足首/腓骨骨折)、TEスミス(足首)、LBヒーニー(足首/三角靭帯断裂)は復帰に向けて動き始めている。3人ともOTAには間に合いそう、とのこと。
14年振りにプレーオフに進出したレイダーズですが、絶対的なリーダーであるQBカーを失ったダメージは大きく、あっけなく初戦敗退に終わってしまいました。考えてはいけないことは分かっていますが、どうしても「カーがいれば」と思ってしまいます。
それでも、今シーズンはリーグ3位タイの12勝もして、間違いなく大躍進のシーズンになりました。シーズンが終わってしまったのは残念ですが、スーパーボウル制覇への道はまだまだ続きますし、今後に期待が持てるシーズンでもありました。
改善点は色々とありますが、チームが良い方向に向かっていることに疑いの余地はありません。来シーズンにカーが戻ってきたときに、今よりずっと良いチームになっていることを期待して、オフの動向も追っていきたいと思います。
レイダーズの選手、コーチ、スタッフ、関係者の皆様。素晴らしいシーズンをどうもありがとうございました。来シーズンの更なる飛躍を楽しみにしています。